人生で一番古い記憶は、七十年ほど前の記憶だろうか?幼稚園での記憶が残っている。何かの拍子に、もっと古い記憶が蘇るかもしれないし、記憶の深堀りも可能な気がする。
高齢者となり、年を重ねるにつれて難しくなるのが、つい最近の記憶だ。昨日何をしたか、先週何をしたかが、思い出せない時がある。三十年前、五十年前、七十年前の記憶はあるのに、不思議だと思う。
昨日もそんなことがあった。
九十才を越える親戚の年寄りを連れて、木曽路というレストランに行った。年寄りはすでに高齢者用の施設にいるが、外出や外食を楽しみにしている。年寄りのお気に入りが、木曽路のすき焼きなのだ。小僧と連れ合いは、しゃぶしゃぶだ。
まずは、ノンアルコールビアで乾杯だ。泡立つグラスをかかげて、年寄りがこう言ったので、驚いた。
「今年、初めてね。じゃ、今年もよろしく。カンパーイ!」
おっととと・・。ビックリした。まだ三週間も経っていない正月二日に、我が家で一緒に新年会をしたではないか。タラバガニ、煮物、お赤飯などを、美味い美味いと言いながら、完食したではないか。
「あら、そうだった?」
九十年前、八十年前、七十年前、三十年前、十年前の記憶はどっさり覚えているのに、三週間前の新年会の記憶が無いのだ。若年寄りの小僧たちも、程度の差はあるが同じようなものだ。
人はなぜ、遠い昔の記憶はあるのに、近い昨日のことは覚えていないのか?刻み込まれる脳が若い頃はしっかりしていて、老化した今の脳は弱体化しているからか?
そんなことを考えながら、木曽路の牛肉を美味しくいただいた。年寄り曰(いわ)く、牛肉は脳にいいそうだし、老化の防止になるそうだ。
ご馳走様でした!
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