人に会うのも嫌、飯も食いたくない、散歩もしたくない、本も読みたくない、映画も見たくない、もう何もやる気が起こらない、と言う時がある。そんな時はゴロッと横になるが、時には横になるのも嫌、と言う時がある。
そんな時、小僧は歳時記をパラパラめくります。歳時記では、季語の簡単な説明とともに、その季語を使った俳句の例が収められている。本は読みたくないが、歳時記であれば、どこでも適当なページを開けば、植物、動物、食べ物、天文、行事などの季語があり、思わぬ気分転換が可能になることもある。花鳥風月ほど、慰めになるものはないと思います。
小僧が使うのは、「合本(がっぽん)、俳句歳時記、第五版、大活字版、角川書店編」だ。
この歳時記は、文字が大きいので短気高齢者向きだ。春、夏、秋、冬、新年の季節ごとに、時候、天文、地理、生活、行事、動物、植物の季語が収録されている。関連用語を含め、総計5246語だ。分厚くて、外に携行するには難があるが、自宅で使うには申し分ない。
たとえば、秋の「松茸」にはこうある。
「マツタケ科の食用茸。赤松林に多く生える。(中略)国内で採れるものは数が少なく高価である(後略)」
例として、六句挙げられているが、そのうち二句を引用しておく。
躊躇なく焼松茸として喰らう 板谷芳浄
(確かに、焼いて食べるというシンプルな食べ方が一番美味いと思います。小僧)
ややありて松茸もっていけといふ 早川志津子
(値の張るものなので、あげるかどうか、迷いますよね。小僧)
と、まあ、こんな風に歳時記を覗いているうちに、落ち込んでいた気分や体調も若干快方に向かうのだ。
人生の最後に近いところで、歳時記にめぐり会えたことに感謝です。