揚げ物は一年中美味しいが、蒸し暑い梅雨時は特に美味しいと言ったら、異論が出るだろうか?そもそも、鬱陶しい梅雨空の下、胃も疲れて食欲もないのに、なぜ揚げ物?なぜ、トンカツを食べる?
小僧もさほど強靭な胃腸を持っているわけではない。その小僧が言うのだから、これは万人に通じる真実だと思う。梅雨時に、トンカツは美味い。
十年ほど前まで、高齢者は魚と野菜を食べて、健康維持に努めましょうと言われてきた。六十台の小僧はそれを守って暮らしてきたが、気づいてみれば気力も筋肉も金力も衰えてきたような気がする。
世の中を見まわしてみれば、最近では高齢者は肉を食べろの大合唱だ。試しに、牛肉、鶏肉、豚肉など、食べてみれば美味いし、やせ細った体に肉も付いてきた。時代、時代の健康論に振り回された小僧が馬鹿でした。雑食こそ、生命の源。魚でも、野菜でも、肉でも、卵でも、バリバリ、ムシャムシャ食べれば、元気が湧いてくる。
そして、小僧の食欲はついにトンカツに至った。揚げ物の油や衣(ころも)が健康に良くないという考えで控えてきたが、もう我慢はよそう。気の向くまま、食欲の向かうまま、食べたいものは何かと体に尋ねよう。
体は答えた。トンカツが食べたい。
小僧は、一目散に近所の「サボテン」に向かい、トンカツをゲットした。皿に盛った長野県産のキャベツの千切りとトンカツにダブダブとブルドックのとんかつソースをかけ、ムシャ、う、美味い。サクサクした衣と脂ののった豚肉とソースが口の中で混ざり合う。
ああ、何年も悪者のように罵詈雑言を浴びせてきたトンカツが、小僧の口や五臓六腑で、「美味いだろ、美味いだろ」と、暴れまわる。食べ物で、これほどの快感が得られるとは、高齢になってみないとわからないものだ。
トンカツや
五臓六腑で
美味い 美味い (小僧)
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