「メーター検針員 テゲテゲ日記」を読んだ。必死に生きる中高年の日記シリーズの一冊である。住宅やビルなどに設置された電気メーターを確認し、電気消費量を知らせる紙を郵便受けに残してゆくのが、メーター検針員である。
受け取ったことのある人も多いと思う。ちなみに我が家では昨年くらいから、この紙は受け取っていない。本書のカバーにも「あと数年でなくなる仕事」と書かれている。現在、我が家では「スマートメーター」なるものが設置され、30分おきに電力会社に無線でデータが送られているようだ。
本書が三五館シンシャから出版されたのは、2020年。その時、川島さんはすでに検針員の仕事を離れ、介護の業界を経て、この本を書いた。表紙には、次のように書かれている。
「1件40円、本日250件、10年勤めてクビになりました」
本のタイトルにある「テゲテゲ」とは、鹿児島弁で「適当に」と言う意味。あまり一生懸命になり過ぎず、適当にやりましょうという意味だそうだが、実際の仕事はかなり厳しいようだ。
まず、川島さんはメーター検針会社の契約社員で、さらにこの会社は大手電力会社から仕事を受注している。この日記シリーズの他の主人公と同じく、川島さんは末端の非常に厳しい場所で仕事をしている。電力会社や検針会社の正社員からの理不尽な要求、指示にも耐えなくてはいけない日々だ。
さらに、お客様からは泥棒と疑われ、番犬から吠えられ噛みつかれ、メーターの設置された住居の裏の湿った場所には、蛇、ムカデなどが待ち構えているのだ。それでも、高齢女性で一人住まいのお客様との交流など、心温まるお話も織り込まれていて、感動しました。
川上さんは、1950年生まれ。大学卒業後、外資系企業に就職、40代半ばで退職し文筆業を目指した。50才で鹿児島に帰郷し、検針員となった。10年の検針員暮らしの後クビになり、介護の仕事に転職し、本書執筆当時は70才で無職とのこと。小僧を含め、同世代の川上さんに親近感を覚える人は多いのではないでしょうか。
テゲテゲと 言いつつ人は 一生懸命
(アフリカ小僧)
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