小僧が住む隠居所の小さな庭に、金木犀の木がある。先週から、その金木犀が満開だ。
金木犀は香りが強い花として知られているが、数メートル離れた所を歩いていてもその香りに気づくほどだ。香水と同じで、金木犀の香りが好きな人もいれば、苦手な人もいるだろう。小僧は、嫌いではない。
金木犀の香りを嗅ぐと、「秋が来たなー」と思う。金木犀に限らず、花の香りは夜になると余計強く感じる。夜の住宅地を歩いていて、ふと金木犀や沈丁花の香りに気づくことがあるが、いいもんだ。
小僧の隠居所の近くには、ゴルフ場がある。昨日の夕方、ゴルフ場のそばを散歩していて、金木犀の香り、それも打ちのめされるような強い香りに気づいた。
な、なんとゴルフ場の敷地には十メートル以上にわたって大きな金木犀が植えられていて、今まさに満開の時だった。夕暮れの散歩道で、「ああ、秋が深まっていくなー」と感じた小僧であった。
明治の文人、正岡子規はこんな句を残してくれている。
木犀や しきりに匂ふ 宵の程(子規)
木犀や 雨の欄干 人もなし(子規)
明治の秋も令和の秋も、秋はいいなー!