アフリカ小僧、隠居日録

定年後の日常を、隠居所で気ままに書いてるブログです

定食と古本

 今柊二(こん とうじ)著、「定食と古本 ゴールド」という本を読んだ。「定食」も「古本」も、一九六〇年代、七十年年代に学生だった人間にとっては、注意をひく単語だ。

 

 定食はともかく古本に関しては、当時の若者全てが関心を持っていたとは言えないだろう。でも、当時、小僧を含め古本屋巡りをしていた少し変わった人間にとっては、この本のタイトルは、なかなか魅力的だ。

 

 

 著者、今柊二氏は、一九六七年香川県生まれ。一九八六年に大学入学で神奈川県に住み始め、そこから古本屋巡りが始まったようだ。したがって、古本屋巡りが盛んだった一九六〇年代から二十年くらい遅れてやってきた青年だ。

 

今柊二著「定食と古本 ゴールド」本の雑誌社刊。

 

 本の構成は至ってシンプルだ。いろんな町に行っては、定食を食べ、そして古本屋を覗き、古本を買う。入る店も庶民的な店だし、買う古本の値段もお手ごろなものばかりだ。

 

 著者は、そんなレポートを実に嬉しそうに書いてゆく。つくづく、街歩きと定食と古本が好きな人なのだろう。たとえば、渋谷に関してはこんな具合だ。

 

 まず、鳳美酒家という店に入って、レバニラ炒め定食を注文。レバニラ、麻婆豆腐の小皿、味噌汁、ごはん、杏仁豆腐で、六百円。ご飯はお代わり無料。しっかりおかわりをして、レバニラ炒め定食を完食。その後、渋谷古書センターに行き、新潮文庫「英国機密ファイルの昭和天皇」を二百円で購入。

 

 しめて八百円のお楽しみだ。こんな楽しみを三十五年以上続けて、本まで出した著者に敬意を表したい。立派な人だと思う。

 

 この著者は、大学卒業後は会社員となり勤めながら、そして家族を持ちながら、定食と古本の探求を続け、本にしてきたようだ。著作も五冊や十冊ではなく、文字通り多数のようだ。

 

 今柊二というペンネーム?を使いながら、街歩きをする著者は、かつて街歩きと古本、それも洋書中心の古本ハンターだった植草甚一を彷彿とさせる。久しぶりに、街歩きと古書店巡りを愛する人に出会えて、ホッとする小僧であった。

 

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