アフリカ小僧、隠居日録

定年後の日常を、隠居所で気ままに書いてるブログです

ミントティー

 モロッコではミントティーを好んで飲む。茶葉とミントの葉、砂糖を入れたポットに熱湯を注ぎ、小さめのグラスで飲む。茶葉の風味とミントの香りが混ざって、実に美味い。客をもてなすため、休息のため、モロッコの人たちは一日に何回も嬉しそうにミントティーをいただく。しゃれたレストランの夕食の後にも、給仕がプロの作法で淹れてくれる。

 

高い位置の急須からお盆の上の小さなグラスにミントティーを注ぐモロッコ人給仕。高いところから茶を注ぐと、ミントティーが泡立つから美味くなるとか、落下する過程でミントの香りが感じられるのがいいとか、諸説あるようです。

 ミントティーを好むのはモロッコなど北アフリカ諸国だけでなく、西アフリカでも同様だった。小僧が滞在していたセネガルでも、「アタイヤ」と呼ばれるお茶を飲む習慣があった。

 

 モロッコでもセネガルでも、お茶を淹れるのは男だ。普段、小まめに働かない男でも茶を淹れるとなると一家言あるようで、「美味いお茶を淹れる方法は・・」などと講釈を言いながら嬉しそうに茶をサービスしてくれた。

 

セネガルでは、会社の同僚が午後決まった時間にアタイヤ(お茶)してくれました。美味しかった!感謝。

 ミントティーの茶葉は中国の緑茶だ。

 

 中国は2021年の実績で、約3千億円の茶葉を世界に輸出し、その多くは北アフリカと西アフリカ向け。(中国人民網日本語版、2022年12月5日号から引用)

 

 セネガルの隣国、モーリタニアで茶葉を販売する店を訪問したことがある。店内には茶葉の入った箱がきれいに整理されて積まれていたが、その箱にはChinaという文字が書かれていた。

 

モーリタニアの茶葉販売店にて。一緒に行ったセネガルのアタイヤ(お茶)好きな友人が嬉しそうに中国から輸入された緑茶の茶箱を眺めていた。

 1930年代、日本は北アフリカのお茶の市場に食い込もうと調査団を出している。1934年6月から翌年の5月の帰国まで、モロッコはじめ北フリカ諸国の現地調査を行い、「昭和9年度海外茶市場調査復命報告書」なるものをまとめている。(北川勝彦著「1930年代における日本のモロッコ貿易をめぐる諸問題」に依る)

 

 今から90年近く前の日本人たちも、お茶をこよなく愛すモロッコに注目していたという証だ。ただし、人の嗜好は簡単には変わらず、昔も今も北アフリカや西アフリカの人々は、中国茶葉を使っているようだ。

 

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