資産をどう守るか?どこの国の富裕層でも、貧困層でも、知恵を絞って対策を講じている。株か?金か?不動産か?
小僧が旅してきたアフリカでは、金や銀のネックレス、腕輪、指輪などに資産を変えて、身に着ける人が多かった。こうしておけば、いろんな事情で住み慣れた家から別の国へ逃げてゆくことになっても、体についているから安心だ。
羊も財産だ。イスラムの国々では、羊をよく食べる。お祭りや婚礼、宗教上の行事でも羊は不可欠だ。庶民や貧困層の人々は、なけなしの金をはたいて、婚礼やお祭りのために羊を買う。
お祭りなど、買うべき時に羊を買えない男は、面目が立たない。めったに自殺のないセネガルで一人の男の自殺未遂が起きた。理由は「羊が買えなくて無念だ」という事だった。事程左様に、羊は大事な生き物であり、資産である。
セネガルなど雨のあまり降らない地域をサヘルと言う。サヘルの羊飼いは、羊や山羊の餌となる草を求めて国境を越えて移動する。
モロッコでも、羊は貴重な家畜であり資産である。
ワルザザートは雨が少ない広大な土漠地帯だ。このため、映画の撮影に向いた土地で、「スターウォーズ」は、ここで撮影された。撮影隊の方々も、モロッコの美味い羊を食べたと思う。
モロッコでは、羊犠牲祭が近づくと、大きな町には羊のマーケットが出現する。町の隅で、メーメーとたくさんの羊の鳴き声がして、一家の主は羊飼いと値段交渉して一頭買いする。お祭りの日、立派な男は自ら、中庭などで家族親戚、近所の人の前で羊を捌(さば)く。
モロッコやセネガルで暮らしていた時、小僧は、羊を売る力、羊を買う力、捌く力、ふるまう力を目の当たりにした。まことに羊は財産であり、よく言う「男の甲斐性(かいしょう)」のバロメーターであると感じた次第である。
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