先日、インプラントの手術を受けた。当日の朝、臆病者なのでこわごわ歯科医院に向かった。
手術前の歯のクリーニングをして、まずは麻酔の先生が腕に点滴の針を刺した。仰向けに椅子が倒れて、今度はインプラントの担当の先生が名前を名乗って「よろしく、お願いします」とご挨拶。こちらも、「どうぞ、よろしくお願いします」と返したところまで覚えている。
「小僧さん、小僧さん」と呼ばれて、はっと我に返る。麻酔でぐっすり眠っていたようだ。そして、驚くべき言葉を聞いた。
「今日はインプラントは出来ませんでした」
いつもの短気高齢者の小僧なら、「な、なにぃー?」と切れるところだが、何分鎮静剤の効果から目覚めたばかりだったので、「ああ、そうですかぁ・・」と答えていた。
当日及びその後の説明によると、抜いた歯を支えていた骨が腐ってボロボロだった。本来、歯を抜いた時点で腐った骨をきれいに除去して、人口骨を造成するとのこと。実は、歯を抜いたのは別の歯科医院で、そこの対応があまりにいい加減だったので、医者を変えたのだった。変えて、正解だった。
人工骨が落ち着くのに数か月かかるので、その時点で再度、インプラントにチャレンジすることになった。
それにしても、鎮静剤の効果はすごいものだ。死んでいくというのは、あんな感じかと思う。つまり、眠りに落ちて、そのまま目覚めないのだろう。