アフリカ小僧、隠居日録

定年後の日常を、隠居所で気ままに書いてるブログです

溜(たま)り席の人々

 大相撲が好きで、毎日見ている。小僧はもっぱら、NHKのテレビ桟敷のファンだ。今場所も解説の北の富士さんがお休みなので、寂しい。北の富士さん、来場所は北の富士節の復活を期待しています!

 

 テレビで観戦していると、土俵のすぐ近くの「溜り席」に座る人々の顔が、自然と目に入る。何年も同じ人が、溜り席に座っている場合もある。不思議なもので、何人かの人の顔は覚えてしまった。目をつむれば、思い出せるほどだ。

 

 

 いったい何を生業(なりわい)にしている人だろう?毎日、数時間を国技館で、それもきっと高いお金を払わなければ座れない席に座って、相撲を見る人たち。こちらの想像が勝手に膨らんでゆく。

 

 名前を知っている人もいる。大村崑さん、崑ちゃんだ。九十才を超えて、姿勢よく、オシャレな崑ちゃんを溜り席に見つけると、こちらまで姿勢をよくしなければといつも思う。柔和な表情も、素敵だ。立派な人生の先輩だ。

 

 現役時代は、いつか自由人になって、毎晩相撲を見たいものだと思っていた。天下に職を失い、自由人になった今でも、先立つものがないので、溜り席は無理だ。しかし、穏やかな時間はたっぷりあるので、テレビ桟敷で相撲を楽しむ。仕切りの時間は、溜り席に座る人々の人生を勝手に想像して過ごす小僧である。

 

 そう言えば、ここ数場所、見かけなくなった、溜り席の妖精と呼ばれていた、清楚なお嬢さんはお元気だろうか?

 

 人の世の

 苦楽の果ての

 溜り席     (小僧)

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