モロッコのアルガンオイルが美肌と健康にいいことは、今や世界中の多くの人に知られているが、ヤギはそのことを遠い昔から知っていたようだ。と言うのは、モロッコ南部を旅していると、アルガンの木に登るヤギを見かけることが多いからだ。
アルガンの木に登るヤギは、実を食べているのである。アルガンの実を食べたヤギの肉は独特の風味があって美味いと言われている。モロッコ南部では、アルガンの実を食べたヤギの肉で作るタジン鍋があって、「名物だから食べなさい」と、小僧も地元の人から勧められた。
地産地消の料理でまずいものはない。モロッコ南部のタジン鍋も、実に美味でした。フランスでも、海の近くで潮風に吹かれて育った牧草を食べた牛の肉や乳が好まれるし、世界じゅう、こういった嗜好が存在するのだろう。
植物と動物と人間たちは、昔から、お互いに尊重しあいながら生存してきた。アルガンの木とヤギと人間の関係は、そうした古代からの摂理を私たちに教えてくれているような気がする。
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