アフリカ小僧、隠居日録

定年後の日常を、隠居所で気ままに書いてるブログです

山田吉彦著「モロッコ紀行」その2、初代カサブランカ領事、勝田直吉氏

 今やモロッコには、四百人前後の邦人が滞在するようだが、山田吉彦がモロッコを旅した昭和13年(1938年)ころは果たしてどうだったのか?

 「モロッコ紀行」には、現地で出会った数名の日本人のことが書かれている。そのひとりが、昭和12年(1937年)、外務省が派遣した勝田直吉領事である。日本政府が初めてモロッコに派遣した外交官である。

 モロッコを訪れる日本人が少なかったためか、勝田領事は旅人、山田吉彦をカサブランカのレストランに招待し、もてなした。その時のことが、「モロッコ紀行」に記録されている。

 

 「食事の終わり頃、勝田領事は魚介が多いここの料理にも不満そうに云うのであった。

 -どうして外国人は豆腐を食わんのかな!

 誠にそうである。この暑熱の国に冷奴があったら真実にどのくらい凌ぎよいことであろう」

 

 今から86年前に、初代カサブランカ領事として、モロッコに赴いた勝田領事は大変な苦労をされたと思う。いったいどんな方だったのかと思い、インターネットで調べたところ、勝田領事の生涯を描いた本が出ていることを突き止めた。残念ながら、助六が住んでいる市の図書館には無く、「日本の古本屋」という便利なサイトで検索をかけたところ、我、発見す!

 早速、発注をかけ、送っていただいたのが、写真の本である。

 

 

初代カサブランカ領事を務めた勝田直吉氏の生涯が描かれた本

 勝田直吉氏の息子さんが、お父様の生涯を描かれた本である。苦労して、試験に合格し、いわゆるキャリア外交官になった経緯や、日本からモロッコまでの旅の様子、モロッコ勤務のあとの外交官としての勤務、そして終戦、その後の人生が書かれていた。

 こうした貴重な本が、静岡県伊東市の古書店で静かに眠っていて、助六の部屋まで届けられたということに感動する助六であった。