アフリカ小僧、隠居日録

定年後の日常を、隠居所で気ままに書いてるブログです

佐田啓二

 前号で触れた小津安二郎監督の「お早よう」と言う映画に、俳優、佐田啓二が出ている。役回りは、主人公の子どもの家族の知り合いの青年という設定だ。

 

 この青年、失業中である。にもかかわらず、焦燥感の無い、落ち着いた青年である。37才という若さで、突然の交通事故で亡くなった俳優、佐田啓二にはむさくるしいオヤジ感が全くない。

 

 佐田啓二は、美男子と言うだけでなく、品の良さ、性格の良さが滲み出る俳優だと思う。

 

 

 

 「秋刀魚の味」(小津安二郎監督)でも、笠智衆演じる主人公の長男役で出ている。DVDのパッケージには二枚の写真があるが、下の方の写真、左側が佐田啓二である。(写真が小さくて、ス、スマンです)そう、現在、NHKの「サラメシ」と言う番組のナレーションをつとめる中井貴一は息子さんである。

 

 「お早よう」と言う映画では、失業中の青年なのでアルバイトをしている。英語の翻訳だ。主人公の子どもたちと同居する若く、きれいな叔母さん(久我美子)が勤める会社の仕事を回してもらっているのだ。さらに、子どもに英語も教えている。佐田啓二演じる失業中の青年は、アルバイトにも品?がある。ま、小津監督の趣味というか、あこがれなんでしょう。

 

 ことほど左様に、小津映画で佐田啓二が演じる人物には品があるし、のんびりとした感じもあって、小僧は好感を持っている。1950年代や60年代初めの映画なのに、映画の中の佐田啓二はビルの屋上のゴルフ練習場で上手に、力強くボールを打てるし、帰宅後、Vネックのセーターを肩に掛けたり、ともかく、オシャレなのだ。

 

 この時代のフツーのサラリーマンたちが手が届きそうでいて、なお手が届かない人生や生活のスタイルを、佐田啓二は小津映画の中で体現していたんだろうと思う。

 

 よき昭和には、よき映画俳優がいたと思います。小僧は、小津安二郎監督の「お早よう」や「秋刀魚の味」などを見ながら昭和の世界に身を置いてしまうと、もはや平成や令和に戻れなくなる自分を感じるのです。

 

 小津映画

 いつも青年

 佐田啓二

       小僧

 

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