Amazonで、朝日文庫「わが家の夕めし」の値段が、「文庫¥2,898より」とあったので、驚いた!小僧も長年、大事にしてきた本である。ちなみに、小僧が持っている本には、「昭和61年6月20日 第1刷発行」、「値段580円」と記されている。初版発行時の値段と比較すれば、現在の値段は約5倍である。
どういう本なのか?有名人のお宅に伺って、夕飯の様子を写真に撮って、短い文章がついている、そんな記事が収録された本である。写真と記事は、もともと「アサヒグラフ」という写真を主体とした週刊誌に掲載されたものだ。アサヒグラフは、小僧が子供の時、よくお医者さんの待合室に置いてあったのを記憶している。2000年に廃刊となった。
朝日文庫「わが家の夕めし」には、どんな有名人が登場しているのか?目次の一部を見てみよう。
読者は一読して、「昭和の食卓だなー」という感想を持つと思う。お一人で食べている写真もあるが、多くの場合は家族とともに台所や食堂、座敷で食べており、家具、部屋の作り、出ている料理など、昭和を感じさせる。少し濃いめの味付けで、みんなが元気にしっかり食べていた昭和の夕飯だ。
たとえば、落語家、林家三平、と言っても昭和の三平だが、台東区の自宅での夕めしのメニューは、次の通り。湯豆腐(ブツ切りの生ダラ入り)、カキフライ、切り干しの煮物(ちくわ、油揚げ入り)、ワカメの味噌汁、自家製たくわん。
詩人、田村隆一の家では、ローストチキン、冷ややっこ、里芋の煮ころがし、大豆とコンブの煮込み、味噌汁。
漫画家、滝田ゆうの家では、カツオの刺し身、ゼンマイと油揚げの煮付け、新ジャガとサヤエンドウの煮物、タラコのもみじあえ、アサリのうしお汁、お新香、デザートのイチゴ。
(以上、同書より引用)
どのおうちのメニューも、懐かしい昭和の夕飯だ。小僧は海外出張や海外赴任の際、同書を携行した。アフリカでは手に入らない食材や現地では食えない日本の家庭料理の写真を見ながら、心を満たしていた。何より、今風のグルメ写真と違い、夕飯を囲む人たちの楽しそうな顔を眺めているだけで、こちらまで穏やかな気持ちになれるという効能が、この本にはあった。
Amazonでこの素晴らしい本を購入できた方々は満足しているが、残念ながらこの本は今、新刊本屋では手に入らない。新刊での再発行を望む人も多いようだ。
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