親戚の年寄りが施設に移るため、古い家の片づけをしていたら、星の王子様が刷られた旧フランス50フラン紙幣が出てきたことは、前号に書いた。
それと一緒に出てきたのが、今回紹介する100フラン紙幣である。こちらも、星の王子様紙幣と同様、ユーロ導入後回収され、今や市場では紙くずである。
この紙幣もすごい。革命に蜂起した人々を導く、胸のはだけた勇敢な女性の姿を紙幣に刷っているのだ。
この100フラン紙幣から、フランスの様々なシーンで見たり、聞いたりする「自由LIBERTE、平等EGALITE、友愛FRATERNITE」は、多くのフランス国民に浸透していることが想像される。革命の風景が刷られたお札が、日々の商いの場で、人の手から人の手へと渡っていたのだ。
リベルテ（自由）、エガリテ（平等）、フラテルニテ（友愛）は、18世紀末のフランス革命で生まれた基本的人権の考え方である。民衆蜂起の絵が刷られた100フラン紙幣は、そうしたフランスの国家の理念が民衆の蜂起の中で生まれたということを小僧に教えてくれた。
親戚の年寄りは、フランス旅行で手に入れたこの紙幣に、何か感ずるものがあったのだろう。大事に保管されていた。
