アフリカには、フランス語が通じる国がある。マダガスカル、コモロ、モロッコ、モーリタニア、セネガル、ギニア、ブルキナファソ、マリ、ニジェール、コートジボワールなどだ。ひとまとめに、アフリカ仏語圏とかフランス語圏アフリカと呼ばれている。
かつて、フランスの植民地であったり、保護領であった国々である。1980年代から40年にわたって、小僧はそうした国々で多数のフランス人を見てきたので、フランス語圏アフリカにおけるフランスの圧倒的な影響力を知っている。政治、経済、外交、文化、教育、軍事、医学など、影響力はすべてに渡っていた。圧倒的な力である。
ところが、そうしたフランスの影響力が崩れかけているとの報道を知った。3月4日土曜日の日経新聞朝刊の記事だ。見出しには「仏、アフリカ駐留軍縮小」「マクロン氏「影響圏終わった」「非軍事重視、企業に投資」とある。
記事では、「フランスは20世紀後半まで西アフリカに広大な植民地を持ち各国の独立後も影響力を保ってきたが、地位は揺らいでいる」と書かれていた。さらに、マクロン大統領の言葉として「アフリカにはもうフランスの縄張りはない」という発言を紹介している。
背景には、ロシアや中国のアフリカでの存在感の拡大があるようだ。
ウクライナ戦争の報道で、日本でも知られるようになったロシアの民間軍事会社「ワグネル」やロシア外交の工作によって、マリやブルキナファソからフランス軍は撤退に追い込まれた。ブルキナファソでは、「アフリカの泥棒、フランスにノン」というプラカードを掲げて、数千人のデモが行われた。
他方、中国はインフラ投資やビジネスを通じて、アフリカでの存在感を拡大している。
「フランスにノン」「フランスは出て行け」と、デモをしたマリやブルキナファソの若者たちの声が、現地では本当に多数派なのか?5年、10年経って、ロシアや中国に近づいた仏語圏アフリカの国々や人々がどうなっていくのか、アフリカにおけるフランスの存在がどうなっていくのか、今後も注視したい。
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